お子さんの運動能力について、こんなことを感じたことはありませんか?
- 体が大きいのに、なぜか力が出し切れていない
- ジャンプが苦手みたい
- 物を拾う時に、いつも腰から曲げている
- なんだか姿勢が悪くなってきた
実はこれらのお悩みは「体のホントの使い方」を習得することで解決できるかもしれません。現代の子どもたちの運動能力は年々低下傾向にあり、それは「機能的な体の動き」が身についていないからだと指摘されています。
そこで今回ご紹介したいのが、機能的な動きの根幹をなすヒンジという運動です。ヒンジを正しく習得することで、お子さんのスポーツパフォーマンスは飛躍的に向上し、日常生活の質も高まるでしょう。
「ヒンジ」って一体何?〜お尻が主役の魔法の動き〜
ヒンジとは、英語で「蝶番(ちょうつがい)」を意味し、股関節を蝶番のように屈曲・伸展させる動きを指します。
この動きの最大の特徴は、膝はほとんど曲げずに、股関節を大きく動かすこと。
上半身を前傾させながら、お尻を大きく後ろに突き出すように動かすとイメージすると分かりやすいかもしれません。
このヒンジの動きは、体幹をまっすぐ保持したまま行うため、「ムービングプランク(動きを伴うプランク)」とも考えられます。
つまり、体幹の安定性を保ちながら、股関節を動かす非常に機能的な動きなのです。

なぜヒンジがそんなに重要?3つの驚くべきメリット
ヒンジが「体のホントの使い方」として重要視されるのには、具体的なメリットがあります。
| 驚きのジャンプ力向上 |
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ヒンジは、スポーツにおけるジャンプの動きに直結します。
素早くしゃがんだ際に筋肉が反射的に収縮する「伸張反射」を効果的に利用できるようになり、より高く、スムーズに跳べるようになるのです。バスケットボールやバレーボール、陸上競技など、ジャンプが重要なあらゆるスポーツで役立ちます。
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| 未来の腰痛を予防する |
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長時間座りっぱなしのデスクワークやスマホ操作が多い現代の子どもたちは、股関節が圧迫され、骨盤が垂直に立ちにくくなり、腰が丸まって腰痛につながるリスクを抱えています。ヒンジは、骨盤と脊柱(背骨)を本来あるべき正しい位置に保つ助けとなり、座りっぱなしによる弊害を緩和し、腰痛予防に効果的です。
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| スポーツパフォーマンスの基礎力を底上げ |
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ヒンジは、ファンクショナルトレーニングにおける「8つの基本的動き」の1つであり、機能的な体の動きを習得するための基礎となります。体が各部位を連動・複合させて一つの動きを作り出す能力を養うため、特定のウィークポイント(弱点部位)を強化することで、怪我のリスクを減らしつつ、大きなパワーを発揮できるようになります。
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なぜお尻に効かない?考えられる原因
「ヒンジをやってみたけれど、ハムストリングス(太ももの裏)には効くのに、お尻(臀部)にはあまり感じない…」というお悩みをよく聞きます。
これにはいくつかの原因が考えられます。
| フォームの不正確さ(膝の曲げすぎ) |
| ヒンジは股関節主導の動きですが、膝が過度に曲がってしまうとスクワットに近い動作になり、ハムストリングスや太ももの前(大腿四頭筋)への負担が増えて、臀筋の関与が薄れてしまいます。 |
| 臀筋への「意識」の欠如 |
| ハムストリングスは意識せずとも活動しやすい傾向がありますが、臀筋を効果的に使うには、能動的にその筋肉に意識を向けて収縮を感じることが不可欠です。 |
| 臀筋の機能的な弱さ |
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相対的に臀筋がハムストリングスよりも機能的に弱い場合、体はより優位なハムストリングスを使って動作を遂行しようとするため、臀筋の活動が制限されることがあります。
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今日からできる解決策
| 正しいフォームを徹底する(膝を曲げすぎない!) |
可能であれば、横から姿見でフォームをチェックしたり、コーチに確認してもらったりするとより効果的です。
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| 臀筋への「意識」を集中する(マインド・マッスル・コネクション) |
動作中にお尻の筋肉に手を当てて、収縮感を直接感じながら行うのも非常に有効です。もし正しいフォームで臀筋に意識を向けることが難しいと感じる場合、無理に回数をこなそうとせず、まずはゆっくりとしたスピードで動作を行ってみましょう。 例えば「3秒で前傾し、3秒で元の姿勢に戻る」といったように時間をかけることで、目的の筋肉(臀筋)への意識を高めやすくなります。 |
| 体幹の基礎を強化する(プランク) |
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臀筋が相対的に弱いと感じる場合は、ヒンジの前に体幹を鍛える「プランク」に取り組むことも有効です。
プランクは体幹の強さに関係する臀筋やハムストリングスもまとめて強化できます。体幹がしっかり安定することで、ヒンジの際に臀筋をより効果的に使えるようになるでしょう。
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子どもたちの可能性を広げるために
| 親御さんへ |
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床に落ちた物を拾う時や、重い物を持ち上げる時、つい腰だけを曲げていませんか?
子どもたちは体が柔らかいので、腰痛のリスクは少ないかもしれませんが、そうした機能的でない動きの癖がつくと、スポーツで機能的な動きが出にくくなります。
ぜひ「スクワットの要領で、腰をしっかり落としてから物を拾う、持ち上げる」
あるいは「ランジのように股関節から動いて足をしっかり前に踏み出す」といった「ヒンジ」やその他の機能的な動きを日常生活の中で意識させてみてください。 これはそのままお子さんのトレーニングになります。
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| コーチへ |
| 「動きのトレーニング」を意識する、機能的な動きを指導する上で重要なのは「筋トレ」という意識ではなく「動きのトレーニング」という意識を持つことです。 選手一人ひとりの運動能力に合わせて、トレーニングの強度や回数を調整し、正しいフォームで「どの筋肉を、どのように使うか」を意識させる言葉がけを心がけましょう。 |
ヒンジは、お子さんのジャンプ力向上や怪我予防、そしてスポーツパフォーマンス全体の向上に直結する、非常に効果的な動きです。この「体のホントの使い方」を正しく身につけることで、お子さんたちはきっとこれまで以上の可能性を開花させ、スポーツを心から楽しむことができるようになるでしょう。


