お子さんが「もっと速く走りたい」「もっと遠くに投げたい」と願っているのに、なぜか運動能力が伸び悩んでいたり、スポーツ中の怪我に悩まされたりしていませんか?また、普段の生活で転びやすかったり、姿勢が悪かったりすることはありませんか?
実はこれらの問題の多くは、体のホントの使い方、すなわち機能的な動きが身についていないことに原因があります。今回は、接骨院の院長として、この機能的な動きの秘密と、それがお子さんの運動能力や健康にどれほど重要かをお伝えします。

 

現代の子どもたちに忍び寄る「運動能力の低下」の影

文部科学省の統計データを見ると、現代の子どもたちは昔と比べて体格は大きくなっているものの、運動能力はそれに追いついていないことが明らかになっています。
例えば、ボール投げの記録や握力など、多くの項目で低下傾向が見られます。
なぜこのような現象が起きるのでしょうか?その大きな要因の一つが、体のホントの使い方、すなわち機能的な体の動きが身についていないことです。
外遊びの減少により、本来自然に身につくはずの「転ばないように足を上げて走る」「木に登る(懸垂の動き)」といった基本的な体の使い方ができなくなっているのです。

機能的な動き=ファンクショナルトレーニングとは?

体のホントの使い方」とは、英語で「ファンクショナルムーブメント(Functional Movement)」と表現され、それを身につけるトレーニングが「ファンクショナルトレーニング」です。これは単なる筋力トレーニングとは異なり、「動きのトレーニング」と捉えることができます。
一般的なマシントレーニングは、体の安定性を保った上で特定の筋肉に負荷をかけるため、効率的に筋肉を強化できるというメリットがあります。しかし、その一方で、姿勢や体の位置、動きに関する情報をキャッチする「固有受容器」への情報刺激が少なくなるため、実際のスポーツ競技中に予期せぬ動きや衝撃が加わった際に対処しきれず、かえって怪我を負いやすくなるというデメリットもあります。マシントレーニングで行うような「単関節運動」(一つの関節だけを主に使う動き)は機能的ではないと考えられています。
一方、機能的な動きは「多関節運動」、つまり複数の関節を使い、多くの筋肉が連動・複合して一つの動きを作り出すものです。これにより、怪我のリスクを減らしつつ大きな出力を発揮できるようになります。
ファンクショナルトレーニングでは、自重(自身の体重)を重視します。これは、実際のスポーツ競技では体重という負荷と共に動いていることが多いため、より競技に近い条件でトレーニングできるからです。

「8つの基本的動き」がすべての土台

ファンクショナルトレーニングの根幹には、機能的な動きを構成する主要な要素として「8つの基本的動き」があります。これらは、どんなスポーツにおいてもパフォーマンス向上に直結するだけでなく、健康レベルの向上にも寄与します。
プランク(上肢部と体幹)
すべての動きの土台となる、板のような体幹を保つ動きです。体幹が安定することで、怪我のリスクが減り、スムーズでパワフル、スピーディーな動きが可能になります。また、猫背スマホ首などの姿勢の改善にも繋がり、肩こり腰痛の予防にも効果的です。
スクワット(下肢部)
基礎として土台を支える脚力を養います。踏ん張る力にも直結し、日常の立ち座りの動作にも役立ちます。
ランジ(下肢部)
フットワークの向上に繋がり、歩く・走る動き、特に前後左右に素早く動くスポーツにおいてパフォーマンスを高めます。
ヒンジ(下肢部)
ジャンプ力に直結する股関節の屈曲・伸展の動きです。デスクワークの多い方の腰痛予防にも有効とされています。
ローテーション(上肢部と体幹)
下半身の力を上半身に伝える、腰の回旋の動きです。野球のピッチングやゴルフのスイング、柔道など、腰のひねりが重要なスポーツに直結し、腰痛予防にも効果的です。
プッシュ(上肢部と体幹)
押す動き、いわゆる腕立て伏せです。単なる腕のトレーニングではなく、胸や肩甲帯の連動を意識して行うことが重要です。
プル(上肢部と体幹)
引く動きで、肩甲帯、肩関節、肘関節の連動が不可欠です。柔道や格闘技など、相手を引き寄せる動作が重要なスポーツでパフォーマンスを向上させます。
キャッチ(上肢部と体幹)
つかむ動き、握力に直結します。現代の子どもたちの握力低下が指摘されており、鉄棒を掴む、ボールを掴むなど、様々なスポーツの基礎となります。
これらの動きを正しく意識して行うことで、体は劇的に変化します。例えば、プランク一つとっても、正しい姿勢で短時間行うことで体幹の筋肉群が活性化され、機能的な動きの土台が作られます。

ファンクショナルトレーニングがもたらす多様なメリット

機能的な動きを身につけるファンクショナルトレーニングは、お子さんの成長に多くのメリットをもたらします。
怪我の予防とパフォーマンス向上
体のウィークポイントを強化し、全身の連動性を高めることで、スポーツ中の怪我を防ぎ、パフォーマンスを最大限に引き出します。
運動神経の覚醒
現代の子どもたちに不足しがちな体のホントの使い方を体得することで、体格に見合った運動能力を発揮できるようになります。
筋力と成長の好循環
自重中心のトレーニングでは、筋肉がつきすぎて身長が伸びなくなるという心配はほとんどありません。むしろ、成長ホルモンの分泌が促され、身長が伸びやすくなると考えられています。
時間効率の良さ
筋力、持久力、柔軟性、可動性など、運動能力に関わる様々な要素を総合的にトレーニングできるため、短時間で効率的に効果が得られます。
モチベーション維持
エクササイズの多様性があり、子どもの運動能力に合わせた強度や難易度で調整できるため、楽しくトレーニングを継続できます。指導者からの言葉がけ一つで、子どものやる気を引き出すことも可能です。
日常生活がトレーニングの場に
床の物を拾う、歩く、振り返るといった日常の動作も、機能的な動きを意識することでトレーニングになります。これにより、普段の生活の中で自然と運動能力を底上げできます。

まとめ

お子さんの運動能力を高め、怪我を予防し、健康な体と心を育むためには、体のホントの使い方を体得することが何よりも重要です。それは、特定のスポーツの技術を磨くことの前に、すべての動きの土台となる部分を強化することに繋がります。
当院では、この機能的な動きを軸としたトレーニングを重視しています。お子さんの状態に合わせたパーソナルな指導はもちろん、8つの基本的動きを基礎とした自重トレーニングを中心に、お子さんが楽しく、かつ安全に運動能力を向上できるようサポートいたします。
お子さんの可能性を最大限に引き出すために、ぜひ体のホントの使い方を一緒に学んでみませんか?
お気軽にご相談ください!